川っぺりムコリッタ
友達でも家族でもない でも、孤独ではない
山田は、北陸の小さな街で、小さな塩辛工場で働き口を見つけ、社長から紹介された「ハイツムコリッタ」という古い安アパートで暮らし始める。無一文に近い状態でやってきた山田のささやかな楽しみは、風呂上がりの良く冷えた牛乳。そして、お米が買える給料日を心から待ち望んでいた。ある日、隣の部屋の住人・島田が風呂を貸してほしいと上がり込んできた日から、山田の静かな日々は一変する。できるだけ人と関わらず、ひっそりと生きたいと思っていた山田だったが、なぜだかハイツムコリッタの住人たちと関わりを持ってしまい…。少しずつ友情のような感情が芽生え始める山田と島田。そんな楽しい日々の中、ある日山田が北陸の町にやってきた「秘密」が、島田に知られてしまい―。