十七人の忍者 大血戦
三代将軍家光が逝去し、その期を狙った由井正雪の謀叛が老中松平伊豆守のために失敗に終った動乱のころ。紀伊五十五万五千石頼宣は、秘かに鉄砲火薬を集め、甲賀忍者に守らせ、虎視耽々と将軍家を狙っていた。だが、これを察した伊豆守も、甲賀者を迎えた紀州家の謀略の狙いを、諸大名が江戸に集まる御代替りの大評定の日と考え、それまでの十日間に紀州の火薬鉄砲を破壊するように伊賀半蔵に命じた。しかし、この伊賀と甲賀の大血戦を前にしても伊賀忍者弓削新三郎は、ふと知りあった甲賀の頭目甚左衛門の娘結香が忘れられず、結香もまた新三郎に恋こがれていた。しかし、忍者の世界で他組との縁組が許されるはずはなかった。そんなうちにも、すでに伊賀と甲賀の和歌山城をめぐる血で並をあらう忍者合戦は始められていた...。