化粧師 KEWAISHI
人生を変える、化粧があります。
大正初め、東京の下町に一人の化粧師がいた。その名は小三馬。時代はあたかも女性の夜明け。さまざまな分野で女性の社会的自立が高まりを見せ始めていた。しかし、化粧は未だ一部の限られた女性たちのものだった。小三馬は抜群の技術を持つカリスマ化粧師。華やかな女性たちに囲まれて暮らす小三馬に、化粧には縁のない天麩羅屋の娘、青野純江は憧れを抱いていた。意を決して弟子入りを志願した純江に対し、小三馬はそっ気ない。一方で、呉服屋の下働きをする文盲の時子が字を覚えようとした時、力になってあげる小三馬。そんな小三馬にはあるひとつの秘密があった。