非常線の女
岡譲二と田中絹代を暗黒街の男と情婦に配した異色の和製ギャング映画で、二人は与太者とその可憐な姉を自分の属す悪の世界から救う。若き小津のアメリカ映画好きを窺わせる“洋才”の作品だが、衣装・美術に至るまで細部のセンスの良さには目を瞠らされる。 時子(田中絹代)は昼間はタイピストとして働いているが、私生活では三流ヤクザの襄二(岡譲二)と一緒に暮らしている。学生の宏(三井秀夫)もその仲間に加わるが、襄二は彼の姉・和子(水久保澄子)に惹かれる。時子はそれを知り、和子を脅そうとするが逆に彼女を気に入り、自分や襄二もアウトローな世界から足を洗おうと決心する。襄二も同意するが、宏が窃盗を働き襄二はそれをかばうため最後の一仕事をやるはめになる。襄二と時子は社長から金を盗み、宏にその金を与える。警察から逃れようとしながらも、時子は襄二に自首するよう説得するが聞き入れられなかったため、彼を撃つ。負傷した襄二は観念して二人は逮捕されるのだった。